alhikma’s blog

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『文明の衝突』-日本人が理解できない国際政治ー

1.『文明の衝突』とは?

文明の衝突』とはアメリカの政治学者サミュエル・ハンチントンが著した書籍です。

冷戦後は文明と文明の衝突が起こると説き、文明と文明が接する地域をフォルト・ラインと名付けて、そこが紛争が激化しやすいと述べました。

 

2.文明の種類

文明と文明のぶつかり合いが起きやすいと著者は説きますが、具体的にはどのような文明があるのでしょうか。著者は現代の主要文明は西欧文明・中華文明・日本文明・ヒンドゥー文明・イスラム文明・ロシア正教文明(スラブ)・ラテンアメリカ文明・アフリカ文明としました。

注)ここでの西欧文明はアメリカを含みます

 

そして文明の際は民族、国民性、宗教、風俗などで決まるとしました。例え、経済が活発で貿易や通信が密であっても、平和、つまり共通の感情は生まれないとし、これは社会科学の説と一致すると主張します。

何故なら人は自分のアイデンティティを自分以外の人によって定義するからだ、と言及します。

(簡単な例で言えばクラスでの陰キャ陽キャはその場のクラスメンバ―と比較する事で決まる、ということです。)

そして「われわれ」対「彼ら」という構図が政治の世界にはほぼ普遍的に存在すると言います。

(これも「あいつらは陰キャだし」みたいな感じで自己を定義づけ、グループが出来ていくという感じです)

 

3.近代文明=西欧文明ではない

サミュエル・ハンチントンは西欧文明が絶対的であると思うのは危険だと警鐘を鳴らします。近代文明=西欧文明とすることは出来ないというのです。

 

過去の歴史は西洋文明が他の文明を侵食する歴史でした。大航海時代以降、西洋は様々な植民地を作ってきたことからもそれが窺えると思います。

 

日本では明治維新といって近代化するために数多くの外国人の教師に招いたりしています。これらを考えると近代文明=西欧文明のように思えますが、サミュエル・ハンチントンは根拠を二点言います。

 

1点め…近代化するために西欧文明を採用したとしても、近代化の為にその社会の人々は成長に勇気づけられて自分たちの文化に自信を取り戻し、文化を主張するようになる。

2点め……他の文明を取り入れたとしても、受け入れる側の文明は受け入れるものの事物を選択する

(確かに明治維新をしたからといって日本はキリスト教国になっていませんよね)

 

以上のような理由で他の文明が異なる文明の上に立つことは出来ないとするのです。

 

4.西欧VS非西洋

先ほど、成長する事で自分たちに自身が湧き、自分たちの文化を復興させようとする動きが行われると言いました。

実はこれが現在、行われている国際政治と関係しています。これまで西欧が世界の覇権を握っていた歴史から抜け出そうと非西洋文明が結託しているのです。主に中華文明とイスラム文明です。これを儒教-イスラムコネクション」と呼びます。

 

今後の世界は「西欧対非西欧」という対立の構図と見て良いでしょう。

 

では具体的にはどのような構造になっているのでしょうか。

注)ここでは中華文明=中国。ヒンドゥー文明=インド。ロシア正教文明=ロシアとします。

中国は2021年現在、アメリカを含む西欧文明と対立していますね。米中貿易戦争などを思い出していただければ納得がいくと思います。インドとも敵対関係に有ります。

イスラム文明も西欧文明と対立しており、インドとも一部対立関係にある(インドとパキスタン

結果インドは西欧と協力関係に有りますね。

ロシアは歴史的には西欧から影響を受けている地域であり、考え方は西欧に近いと言えます。しかし冷戦の影響でアメリカがロシアを仮想敵国に見ている面が一部あるので、現在は中国と関係を結ぶ動きも有りますが、その立ち位置は決まっていません。

 

ここで注目して頂きたいのが場所です。

イスラムはヨーロッパは場所が接しており、中国はインドと接しています。中国は海洋進出を企んでるので、アメリカともぶつかっています。

簡単に言うと場所的に近い文明と文明が争っていますよね。そして中国とイスラムは対西洋という事で結びついているという事です。

 

国際政治の構造がこれでお分かりいただけると思います。

 

5.日本

日本は中華文明に属しません。一国一民族がそのまま文明と認められています。

このことが国際政治的にどう重要でしょうか。

簡単に言えば、文化的に他国と協力するのは難しいという事です。

例えば西欧なら同じ文化に属しているドイツやフランスで協力し合えます。これはアジアでも同じことが言えます。つまり同じ文化圏に複数の国家が属していると国際政治の中で協力し合えます。

この協力は同じ文化圏に属しているというだけで一定の信用が生まれます。

人は誰でも理解が出来れば安心するからです。逆に理解が出来ないと怖がりからです。

 

では日本はどのように国際政治を生き抜けばいいのでしょうか

一つは他国と利益で繋がる事です。例えばアメリカと安全保障条約を結んでいますが、これはアメリカが対中国を想定しているために成立している条約でもあります。

このように徹底的に各国間の利害関係を生き抜いていく道が有ります。

 

もう一つは他国の文化間闘争を調整する、という事です。日本は歴史的に神道、仏教、儒教と異なる価値観を受容してきた国でもあります。また他の国と文化的に対立していることは殆どありません。(例外は中国や北朝鮮、韓国)

現在世界を引っ張る主要国は西欧文明です。しかしその西欧文明はイスラム文明と対立しています。他に力ある国として、日本が西欧文明とイスラム文明の相互理解を推し進めるのは十分可能です。

 

6.終わりに

日本は西欧の価値観を良いものとして捉える傾向があります。しかし世界はそう思わない人がいます。

その中で改めて日本が取るべき道筋は何かを考えるのが大事なのです。